轤ハなるべし。

   學校、えせ詩人、露肆《ほしみせ》

 フランチエスカ[#「フランチエスカ」に傍線]の君は夫に隨ひて旅立ち給ひぬ。我は「ジエスヰタ」派の學校の生徒となりたり。わが日ごとの業《わざ》もかはり、われに交る人の面も改まりて、定なき演劇めきたる生涯の端はこゝに開かれぬ。時々刻々の變化のいと繁きに、歳月の遷《うつ》りゆくことの早きことのみぞ驚かれし。當時こそ片々の畫圖となりて我目に觸れつれ、今に至りて首《かうべ》を囘《めぐら》せば、その片々は一幅の大畫圖となりて我前に横はれり。是れわが學校生活なり。旅人の高山の巓《いたゞき》に登り得て、雲霧立ち籠めたる大地を看下すとき、その雲霧の散るに從ひて、忽ち隣れる山の尖《さき》あらはれ、忽ち日光に照されたる谿間《たにま》の見ゆるが如く、我心の世界は漸く開け、漸く擴ごりぬ。カムパニア[#「カムパニア」に二重傍線]の野を圍める山に隔てられて、夢にだに見えざりける津々浦々は、次第に浮び出で、歴史はそのところ/″\に人を住はせ、そのところ/″\にて珍らしき昔物語を歌ひ聞せたり。一株の木、一輪の花、いづれか我に興を與へざる。されど最も美しく我前
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