的もなく外に出たくなって飛び出して、忙がしげに所々《しょしょ》を歩いていて、その途中で自分が何物かを求めているのに気が付いて、あのGautier《ゴオチエエ》のMademoiselle Maupin《マドモアセユ モオパン》にある少年のように女を求めているのに気が付いて、自ら咎《とが》めはしなかったが、自ら嘲《あざけ》ったことがある。あの時の心持は妙な心持であった。或るaventure《アヴァンチュウル》に遭遇して見たい。その相手が女なら好《い》い。そしてその遭遇に身を委《ゆだ》ねてしまうか否かは疑問である。その刹那《せつな》に於ける思慮の選択か、又は意志の判断に待つのである。自分の体は愛惜すべきものである。容易に身を委ねてしまいたくはない。事に依ったら、女に遇《あ》って、女が己に許すのに、己は従わないで、そして女をなるべく侮辱せずに、なだめて慰藉《いしゃ》して別れたら、面白かろう。そうしたら、或は珍らしい純潔な交《まじわり》が成り立つまいものでもない。いやいや。それは不可能であろう。西洋の小説を見るのに、そんな場合には女は到底侮辱を感ぜずにはいないものらしい。又よしや一時純潔な交のよ
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