微笑が又閃く。
「消極的新人と積極的新人と、どっちが本当の新人かと云うことになりますね」
「ええ。まあ、そうです。その積極的新人というものがあるでしょうか」
微笑が又閃く。
「そうですねえ。有るか無いか知らないが、有る筈《はず》には相違ないでしょう。破壊してしまえば、又建設する。石を崩しては、又積むのでしょうよ。君は哲学を読みましたか」
「哲学に就いては、少し読んで見ました。哲学その物はなんにも読みません」正直に、躊躇せずに答えたのである。
「そうでしょう」
夕《ゆうべ》の昌平橋は雑沓《ざっとう》する。内神田の咽喉《いんこう》を扼《やく》している、ここの狭隘《きょうあい》に、おりおり捲き起される冷たい埃《ほこり》を浴びて、影のような群集《ぐんじゅ》が忙《せわ》しげに摩《す》れ違っている。暫くは話も出来ないので、影と一しょに急ぎながら空を見れば、仁丹の広告燈が青くなったり、赤くなったりしている。純一は暫く考えて見て云った。
「哲学が幾度建設せられても、その度毎に破壊せられるように、新人も積極的になって、何物かを建設したら、又その何物かに捕われるのではないでしょうか」
「捕われるので
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