ェ突然消えた。それと同時に、もう外は明るくなっていると見えて、欄間《らんま》から青白い光が幾筋かの細かい線になってさし込んでいる。
女中が十能《じゅうのう》を持って這入って来て、「おや」と云った。どうしたわけか、綺麗《きれい》な分の女中が来たのである。「つい存じませんのでございますから」と云いながら、火鉢に火を活《い》けている。
ろくろく寝る隙《ひま》もなかったと思われるのに、女は綺麗に髪を撫《な》で附けて、化粧をしている。火を活けるのがだいぶ手間が取れる。それに無口な性《たち》ででもあるか、黙っている。
純一は義務として何か言わなくてはならないような気がした。
「ねむたかないか」と云って見た。
「いいえ」と女の答えた頃には、純一はまずい、sentimental《サンチマンタル》な事を言ったように感じて、後悔している。「おやかましかったでしょう」と、女が反問した。
「なに。好く寐られた」と、純一は努めて無造做《むぞうさ》に云った。
障子の外では、がらがらと雨戸を繰り明ける音がし出した。女は丁度火を活けてしまって、火鉢の縁《ふち》を拭いていたが、その手を停めて云った。
「あのお雑
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