ような小倉袴《こくらばかま》のもある。所謂《いわゆる》学生諸君が六七人いるのである。
こんな時には純一なんぞは気楽なもので、一番跡から附いて出て、末席《ばっせき》と思った所に腰を卸すと、そこは幹事の席ですと云って、曽根が隣りへ押し遣った。
ずっと見渡すに、上流の人は割合いに少いらしい。純一は曽根に問うて見た。
「今晩出席しているのは、国から東京に出ているものの小部分に過ぎないようですが、一体どんなたちの人がこの会を催したのですか」
「小部分ですとも。素《も》と少壮官吏と云ったような人だけで催すことになっていたのが、人の出入《でいり》がある度に、色々|交《まじ》って来たのですよ。今では新俳優もいます」
こんな話をしているうちに、女中が膳を運んで来始めた。
土地は柳橋、家は亀清である。純一は無論芸者が来ると思った。それに瀬戸がきのうの話の様子では来る例になっているらしかった。それに膳を運ぶのが女中であるのは、どうした事かと思った。
酒が出た。幹事が挨拶をした。その中《うち》に侯爵家から酒を寄附せられたという報告などがあった。それからY県出身の元老大官が多い中に、某大臣が特に後進を
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