に堪えなくなった。そしてある時は、こんなうるさい生活は人間のdignite[# 最後の「e」は「´」付き]《ジグニテエ》を傷《きずつ》けるものだとさえ思った。
 大村は神経質の遺伝のあるものには、この抑制が出来なくて、それを無理に抑制すると病気になると云った。己はそれを思い出して、我《わが》神経系にそんな遺伝があるのかとさえ思った。しかしそんな筈はない。己の両親は健康であったのが、流行病で一時に死んだのである。
 己の自制力の一角を破壊したものは、久し振に尋ねて来たお雪さんである。
 お雪さんと並んで据わっていたとき、自然が己に投げ掛けようとした※[#「※」は「弓+京」、第3水準1−84−23、117−12]《わな》の、頭の上近く閃《ひらめ》くのが見えた。
 お雪さんもあの※[#「※」は「弓+京」、第3水準1−84−23、読みは「わな」、117−14]を見たには違いない。しかしそれを遁《のが》れようとしたのは、己の方であった。
 そして己は自分のそれを遁れようとするのを智なりとして、お雪さんを見下《みく》だしていた。
 その時己は我自制力を讃美していて、丁度それと同時に我自制力の一角が
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