e」は「´」付き]《ルプレザンタチイヴ》な女だね」
「それに実際えらいのでしょう」
「えらいのですとも。君、オオトリシアンで、まだ若いのに自殺した学者があったね。Otto《オットオ》 Weininger《ワイニンゲル》というのだ。僕なんぞはニイチェから後《のち》の書物では、あの人の書いたものに一番ひどく動《うごか》されたと云っても好《い》いが、あれがこう云う議論をしていますね。どの男でも幾分か女の要素を持っているように、どの女でも幾分か男の要素を持っている。個人は皆M+Wだというのさ。そして女のえらいのはMの比例数が大きいのだそうだ」
「そんなら詠子さんはMを余程沢山持っているのでしょう」と云いながら、純一は自分には大分Wがありそうだと思って、いやな心持がした。
風炉敷包を持った連中は、もうさっきから黒い木札の立ててある改札口に押し掛けている。埒《らち》が開《あ》くや否や、押し合ってプラットフォオムへ出る。純一はとかくこんな時には、透くまで待っていようとするのであるが、今日大村が人を押し退《の》けようともせず、人に道を譲りもせずに、群集《ぐんじゅ》を空気扱いにして行《ゆ》くので、その
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