聖《せい》ニコラウスの夜《よ》
カミイユ・ルモンニエエ(Camille Lemonnier)
森林太郎訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)聖《せい》ニコラウスの夜《よ》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)二枚|中為切《なかしきり》にした

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「上部は父、下部は多」、第4水準2−80−13、143−上−12]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)所々《しよ/\》
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 テルモンド市の傍《かたはら》を流れるエスコオ河に、幾つも繋いである舟の中に、ヘンドリツク・シツペの持舟で、グルデンフイツシユと云ふのがある。舳に金色《きんしよく》に光つてゐる魚《うを》の標識《しるし》が附いてゐるからの名である。シツペの持舟にこれ程の舟が無いばかりでは無い、テルモンド市のあらゆる舟の中でも、これ程立派で丈夫な舟は無い。この大きい、茶色の
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