いそう》甚しく、発熱して就蓐《じゅじょく》し、終《つい》に加答児《カタル》性肺炎のために命を隕《おと》した。嗣子終吉さんは今の下渋谷《しもしぶや》の家に移った。
わたくしは脩の句稿を左に鈔出《しょうしゅつ》する。類句を避けて精選するが如きは、その道に専《もっぱら》ならざるわたくしの能《よ》くする所ではない。読者の指※[#「てへん+適」、第4水準2−13−57]《してき》を得ば幸《さいわい》であろう。
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山畑《やまはた》や霞《かすみ》の上の鍬《くわ》づかひ
塵塚《ちりづか》に菜の花咲ける弥生《やよい》哉《かな》
海苔《のり》の香《か》や麦藁《むぎわら》染むる縁の先
切凧《きれだこ》のつひに流るゝ小川《こがわ》かな
陽炎《かげろう》と共にちらつく小鮎《こあゆ》哉
いつ見ても初物らしき白魚《しらお》哉
牡丹《ぼたん》切《きっ》て心さびしき夕《ゆうべ》かな
大西瓜《おおすいか》真つ二つにぞ切《きら》れける
山寺は星より高き燈籠《とうろ》かな
稲妻の跡に手ぬるき星の飛ぶ
秋は皆物の淡きに唐芥子《とうがらし》
手も出さで机に向ふ寒さ哉
物売《ものうり》の皆|頭巾《ずきん》
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