た。
準平はこれより先《さき》愛知県会の議長となったことがある。某年に県会が畢《おわ》って、県吏と議員とが懇親の宴を開いた。準平は平素県令|国貞廉平《くにさだれんぺい》の施設に慊《あきたら》なかったが、宴|闌《たけなわ》なる時、国貞の前に進んで杯《さかずき》を献じ、さて「お※[#「肴+殳」、第4水準2−78−4]《さかな》は」と呼びつつ、国貞に背《そむ》いて立ち、衣《い》を搴《かか》げて尻《しり》を露《あらわ》したそうである。
保は国府《こふ》に来てから、この準平と相識になった。既にして準平が兄弟《けいてい》になろうと勧めた。保は謙《へりくだ》って父子になる方が適当であろうといった。遂に父子と称して杯を交した。準平は四十四歳、保は二十五歳の時である。
この時東京には政党が争い起《おこ》った。改進党が成り、自由党が成り、また帝政党が成って、新聞紙は早晩これらの結党式の挙行せらるべきことを伝えた。準平と保とは国府《こふ》にあってこういった。「東京の政界は華々しい。我ら田舎に住んでいるものは、淵《ふち》に臨んで魚《ぎょ》を羨《うらや》むの情に堪えない。しかし大《だい》なるものは成るに難
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