準1−14−42]《いまし》めて耽《ふけ》らざらんことを欲したのである。
抽斎は大名の行列を観《み》ることを喜んだ。そして家々の鹵簿《ろぼ》を記憶して忘れなかった。「新武鑑」を買って、その図に着色して自ら娯《たのし》んだのも、これがためである。この嗜好《しこう》は喜多|静廬《せいろ》の祭礼を看ることを喜んだのと頗《すこぶ》る相類《あいるい》している。
角兵衛獅子《かくべえじし》が門に至れば、抽斎が必ず出て看たことは、既に言った。
庭園は抽斎の愛する所で、自ら剪刀《はさみ》を把《と》って植木の苅込《かりこみ》をした。木の中では御柳《ぎょりゅう》を好んだ。即ち『爾雅《じが》』に載せてある※[#「木+聖」、第3水準1−86−19]《てい》である。雨師《うし》、三春柳《さんしゅんりゅう》などともいう。これは早く父允成の愛していた木で、抽斎は居を移すにも、遺愛の御柳だけは常におる室《しつ》に近い地に栽《う》え替えさせた。おる所を観柳書屋《かんりゅうしょおく》と名づけた柳字も、楊柳《ようりゅう》ではない、※[#「木+聖」、第3水準1−86−19]柳である。これに反して柳原《りゅうげん》書屋の
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