高瀬舟
森鴎外
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)高瀬舟《たかせぶね》は
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)親戚|眷族《けんぞく》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)それは※[#「言+墟のつくり」、第4水準2−88−74]である。
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)おそる/\
−−
高瀬舟《たかせぶね》は京都の高瀬川を上下する小舟である。徳川時代に京都の罪人が遠島《ゑんたう》を申し渡されると、本人の親類が牢屋敷へ呼び出されて、そこで暇乞《いとまごひ》をすることを許された。それから罪人は高瀬舟に載せられて、大阪へ廻されることであつた。それを護送するのは、京都町奉行の配下にゐる同心で、此同心は罪人の親類の中で、主立つた一人を大阪まで同船させることを許す慣例であつた。これは上へ通つた事ではないが、所謂大目に見るのであつた、默許であつた。
當時遠島を申し渡された罪人は、勿論重い科を犯したものと認
次へ
全19ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング