主人であつた筈の年数である。彼《かの》「怙を喪つて久からずして」退隠したと云ふ説は、斟酌して聞くべきである。わたくしは後に至つて又此問題に立ち帰るであらう。
 ※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎の歿した時、其妻はどうしてゐたか。墓誌には唯「出為従祖弟狩谷保古嗣、配以第三女」の句があるのみである。わたくしは此に拠つて※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎の妻が狩谷|保古《はうこ》の第三女であつたことを知る。しかし其生歿を明にすることを得ない。天竜寺には※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎の墓があつて、妻狩谷氏の墓は無い。
 わたくしは頃日《このごろ》料《はか》らずも※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎の妻の忌日を知ることを得たやうにおもふ。若し他に記録の徴すべきものが無いとすると、是も亦※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎伝を補ふべき重要なる材料の一であらう。

     その二百十五

 わたくしは此年天保乙未に狩谷※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎の歿した時、其妻はどうしてゐたかと問うた。既に屡《しば/\》云つた如くに、わたくしは※[
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