。蘭軒は翁助と書してゐるが、親類書には応助に作つてある。その或は同人なるべきをおもつて、徳《めぐむ》さんに質した。しかし異人であつた。集中の春の詩は以上二首のみである。
 三月には蘭軒の二子が阿部侯|正精《まさきよ》の賞詞を受けた。勤向覚書に曰く。「三月十一日悴良安医学出精仕、御満足被思召候御意奉蒙候。同日次男盤安去年中文学出精之段達御聴御満足思召候段奉蒙御意候。」良安は榛軒|信厚《のぶあつ》、盤安《はんあん》は柏軒信重で、彼は十八歳、此は十二歳である。

     その百十二

 蘭軒の二子榛軒柏軒は、上《かみ》に云つた如く、此年文政四年三月十一日に阿部侯正精の賞詞を受けた。
 歴世略伝に拠るに、是より先榛軒は狩谷※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎、松崎|慊堂《かうだう》に就いて経を受け、父蘭軒、多紀|※[#「くさかんむり/(匚<(たてぼう+「亞」の中央部分右側))」、第4水準2−86−13]庭《さいてい》、辻本|※[#「山/松」、第3水準1−47−81]庵《しゆうあん》、田村|元雄《げんゆう》に就いて医学諸科を修めた。柏軒が経学の師も亦※[#「木+夜」、第3水準1−85−
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