読書」と云つてゐるのは、語つて詳《つまびらか》ならざるものがある。職を罷めて辛島塩井《からしまえんせい》に従学しようと思つてゐながら、病に罹つて死んだのは事実であらう。
 茶山の書牘に拠るに、梅泉は神辺に往つた時、茶山を訪はなかつた。そして「門人か※[#「にんべん+慊のつくり」、第3水準1−14−36]か」と見える漢子《かんし》を差遣した。茶山はこれを引見して話を聞いた。そして我より往いて訪ふべきではあつたが、病のために果さなかつたと云つてゐる。
 茶山は梅泉の学問をも技藝をも認めてゐた。然るに其人が神辺にゐて来り訪はぬのである。茶山がいかに温藉の人であつたとしても、自ら屈して其旅舎に候《うかが》ふべきではあるまい。茶山の会見を果さなかつたのは、啻《たゞ》に病の故のみではあるまい。
 わたくしは梅泉が頗る倨傲であつたのではないかと疑ふ。竹田の社友に聞いた所の如きも、わたくしの此疑を散ずるには足らぬのである。「蓋其人才気英発。風趣横生。超出物外。不可拘束。非尋常庸碌之徒也。聞平日所居。房槞華潔。簾幕深邃。衣服清楚。飲食豊盛。異書万巻。及名人書画。陳列左右。坐則煮茗插花。出則照鏡薫衣。置梅
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