。字は豁然《くわつねん》、蓮社と号し、又了蓮寺が錦町にあつたので、尚絅堂《しやうけいだう》と号した。多く無相の名を以て行はれてゐる。
その五十三
此年文化四年に蘭軒は長崎にあつて底事《なにごと》を做《な》したか、わたくしはこれを詳《つまびらか》にすることが出来ない。※[#「くさかんむり/姦」、7巻−105−下−13]斎《かんさい》詩集を検するに、その交つた人々には徳見|※[#「言+仞のつくり」、第3水準1−91−93]堂《じんだう》があり、劉夢沢《りうむたく》があり、長川某がある。又|春風頼惟疆《しゆんぷうらいゐきやう》の来り訪ふに会した。清人《しんひと》にして蘭軒と遊んだものには、先づ伊沢信平さんの所蔵の蘭軒文集に見えてゐる張秋琴《ちやうしうきん》がある。次に程赤城《ていせきじやう》があり、胡兆新《こてうしん》があると、歴世略伝に見えてゐる。又わたくしが嘗て伊沢良子刀自を訪うて検し得た文書の中に、陸秋実《りくしうじつ》といふものの蘭軒に次韻した詩があり、柏軒門の松田|道夫《だうふ》さんの話には江芸閣《こううんかく》も亦蘭軒と交つたさうである。
徳見※[#「言+仞のつ
前へ
次へ
全1133ページ中172ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング