のするのに、まず気のついたのは弥五兵衛である。これも手槍を提げて台所へ見に出た。
 二人は槍の穂先と穂先とが触れ合うほどに相対した。「や、又七郎か」と、弥五兵衛が声をかけた。
「おう。かねての広言がある。おぬしが槍の手並みを見に来た」
「ようわせた。さあ」
 二人は一歩しざって槍を交えた。しばらく戦ったが、槍術は又七郎の方が優れていたので、弥五兵衛の胸板をしたたかにつき抜いた。弥五兵衛は槍をからりと棄てて、座敷の方へ引こうとした。
「卑怯《ひきょう》じゃ。引くな」又七郎が叫んだ。
「いや逃げはせぬ。腹を切るのじゃ」言いすてて座敷にはいった。
 その刹那《せつな》に「おじ様、お相手」と叫んで、前髪の七之丞が電光のごとくに飛んで出て、又七郎の太股《ふともも》をついた。入懇《じっこん》の弥五兵衛に深手を負わせて、覚えず気が弛《ゆる》んでいたので、手錬の又七郎も少年の手にかかったのである。又七郎は槍を棄ててその場に倒れた。
 数馬は門内に入って人数を屋敷の隅々に配った。さて真っ先に玄関に進んでみると、正面の板戸が細目にあけてある。数馬がその戸に手をかけようとすると、島徳右衛門が押し隔てて、詞せ
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