れば、娘や孫の手前が恥かしくてまゐられません。お寺に参るには余り着物が悪くなつてゐます。新しいのは出来ません。それに不精でございますので。」
「そんなら内では御祈祷をなさるのですか。」
「それはいたしますが、実は申訳のないいたしやうでございます。なんの気乗もしないでいたしてゐます。御祈祷はどんなにしていたすものだと云ふ事は存じてゐながら、どうしてもその心持になられません。如何《いか》にも自分が詰らない人間だと承知してをりますので。」パシエンカは顔を赤くした。
「さうさね。どうもさうなり易いものですよ。」セルギウスはさもあらうと思つたらしかつた。
又婿の声がしたので、パシエンカは「すぐ往くから、お待よ」と返事をして、髪を撫で付けて出て行つた。今度は暫く時間が立つて、火屋《ほや》のないブリツキの小ランプを手に持つて帰つて来た。
其時セルギウスはさつきの儘の姿勢で、頭を項垂れて膝に肱を衝いてゐた。併し側に置いてあつた袋をいつの間にか背負つてゐる。セルギウスは疲れたやうな、まだ美しい目を挙げて、パシエンカを見て、深い深い溜息を衝いた。
パシエンカが云つた。「わたくし孫達にはあなたがどなた
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