ない事もあります。でもどちらでも優しくいたしてくれますので。」
「そしてその教へて貰ふ子供は出来ますか。」かう云つたセルギウスの目には殆ど認められぬ程の軽い微笑が見えた。
 パシエンカは妙な事を問はれたと不思議に思ふらしく訝《いぶかり》の目をしてセルギウスを見た。「それは出来ますとも。一人なんぞは立派な子でございます。親は肉屋さんですが、それは正直な、可哀らしい娘でございます。ほんにわたしがもつと気が利いてゐましたら、夫には立派な知合がありましたのですから、婿にももつと好い役の出来るやうに世話をして遣る事が出来ましたのでございませうが、なんにも分りませんので、とう/\一家がこんなに落ちぶれてしまひました。」
「成程、成程。」かう云つてセルギウスは頭を項垂《うなだ》れた。「それはさうとお宗旨の方はどうですか。」
「どうぞその方の事は仰やらないで下さいまし。わたくしは本当に不精で、遣り放しでございます。聖餐の時には子供を連れて参りますが、間々《あひだ/\》では一月もお寺に参らずにゐる事がございますの。子供だけは遣りますが。」
「なぜ御自分では往かれないのですか。」
「正直なところを申します
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