に思う。婦人が夫を慰めるのは、あながち、容貌とかお化粧だけにあるのではなく、これは私の音に生活しているためかも知れぬが、声や言葉にもあると思う。夫が疲れて帰って来て、優しい言葉や声で慰めて貰えば、夫婦喧嘩は起こらないだろうと思う。
言葉はただ目で文字を読んだ感じだけでなく、耳で聞いてもいい感じの言葉を用いたいものである。普通人と対座する時でも、なるべく言葉や声によって、よい感じを与えるようにしたいと思う。それには、お互に婦人に限らず、美しい声と美しい言葉とを遣うようにしたいものである。特に女性の優しさというものは声と言葉にあるように、私は思っているのである。
底本:「心の調べ」河出書房新社
2006(平成18)年8月30日初版発行
初出:「垣隣り」小山書店
1937(昭和12)年11月20日
入力:貝波明美
校正:noriko saito
2007年12月28日作成
青空文庫作成ファイル:
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