が自然に無意識に動いて行く目標である。人は無辜の人間となることが出來ても、神にはなれない。ただその場合彼は眞の人間になるだけだ。現在の状態では、吾々は半人半獸である、然るに、吾々は無智傲慢にも、人類の目的を完全に果してゐると誇稱し、暴力に答ふるに暴力を以てし、それがために必要な憤怒の度合を増大する。吾々は復讐が人類の法則であることを信ずるかのやうに裝うてゐるが、どの經典にも復讐が義務であるとは書いてゐない。ただそれは許容さるべきものだとなつてゐるだけだ。義務的なのは抑制である。復讐は念入りに調整する必要があるところの我儘である。抑制は人間の法則だ。何となれば最高の完成は、最高の抑制がなくては達せられないからだ。從つて、受難は人類の徽章である。
 目標はいつでも吾々から逃げて行く。進歩が大きければ大きいほど、吾々の無價値の認識も深くなる。滿足は目的の達成にあるのではなく、努力の中にあるのだ。十分なる努力は十分なる勝利だ。
 故に、私はこの際特に自分が目的から遠ざかつてゐることを認めてゐるけれども、私にとつて完全な愛の法則は、生存の法則である。私はやる度に失敗するが、その失敗によつて私の努
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