英華字典』などにもそんな名は見付からない。私はその出典が知りたいのだが、そのうちどこかから捜し出してみようと思っている。もしも誰か御承知の御方があれば私の蒙を啓いていただきたい。
 元来この Tragopogon porrifolius L[#「L」は斜体]. をバラモンジンと名づけたのは不穏当であった。何んとなれば婆羅門参はヒガンバナ科のキンバイザサすなわち仙茅《センボウ》の一名であるからである。李時珍《りじちん》の『本草綱目』によれば、仙茅の条下に「始メ西域ナル婆羅門ノ僧、方ヲ玄宗ニ献ズルニ因テノ故ニ、今江南ニテ呼ンデ婆羅門参卜為ス、言フコヽロハ其功ノ補スルコト人参ノ如ケレバナリ」(漢文)と述べている。すなわち婆羅門参の由来はこの如くであって、それはキンバイザサの名にほかならない。
 このムギナデシコは欧州では Salsify, Vegetable−Oyster(植物|牡蠣《カキ》)Oyster−Plant(牡蠣植物)Oyster−root(牡蠣根)Purple Goat's−beard(紫山羊髯《ムラサキヤギヒゲ》)Jerusalem Star(「エルサレム」ノ星)Nap−at−
前へ 次へ
全361ページ中72ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
牧野 富太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング