豆花ノ如ク、而シテ内ニ郭アリテ人耳ノ如シ、短角ヲ結ブ、根ハ円クシテ卵ノ如ク数本同ジク生ズ、秋時ニ掘取レバ輒チ多クヲ得、俚医之レヲ用ウ」(漢文)である。またなお中国に土※[#「囗<欒」、7−5]児というものがあって『救荒本草《きゅうこうほんぞう》』巻之六に出ているが、これはおそらく右の九子羊と同種で単にその名称を異にしているが同じくホドイモであろうと信ずる。そして右『救荒本草』のその文は「土※[#「囗<欒」、7−7]児、一名ハ土栗子、新鄭山野ノ中ニ出ヅ、細茎ハ蔓ヲ延テ生ズ、葉ハ※[#「くさかんむり/綏のつくり」、第3水準1−90−85]豆葉ニ似テ微シク尖※[#「角+光」、第3水準1−91−91]、三葉毎ニ一処ニ攅生ス、根ハ土瓜児根ニ似テ微シク団《マル》ク、味ハ甜シ、救飢ニシ根ヲ採リ煮熟シテ之レヲ食フ」(漢文)である。
 右から推想してみると、まずまず九子羊ならびに土※[#「囗<欒」、8−3]児がいわゆる馬鈴薯にあたるように感ずる。もし果たしてそうだとすれば、とにかく、上の「葉ハ樹ニ依テ生ズ」[葉のある蔓が樹木に寄りすがって登っているの意]の意味とも吻合する。九子羊の根塊は円形で濃褐色だか
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