としてはどこを利用するのかというと、その嫩かい実とその嫩かい葉とその嫩かい皮とである。
 実は花に次いでその枝上にあたかも串に刺したように無数になる。円形の翅果で、中央にある小さい堅果の周囲に薄い翅翼がある。初めは緑色で軟かく、それを採って煮て食する。私も昭和十六年(1941)に八十歳で満州へ行った時、五月にこれを大連市壱岐町三番地福本順三郎君(大連税関長)の邸で味ってみたが、あまり美味しいものではなかった。楡はこのように円い銭形をしたいわゆる楡莢《ゆきょう》を生じ、俗にこれを楡銭《ゆぜん》と呼ぶので楡銭樹ともいわれる。
 この実は熟すると早くも枝から落ちてしまう。そして新芽の葉もゆでれば食べられる。またこの樹の白色で軟かい生まの内皮を掻き取り食用にするのだが、それは粘滑質で餅などに入れて食する、いわゆる楡皮である。またこの内皮を取って乾燥して磨して白い粉となし楡麺《ゆめん》に製し食べるものがいわゆる楡白粉である。
 この楡はニレ科で俗に Siberian Elm と呼ばれ、その学名は Ulmus pumila L[#「L」は斜体]. である。この種名の pumila とは矮小ナあるい
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