嚢《ふくろ》一杯になっている毛の中に含まれた細胞液が酸化し甘くなり、そこで食われ得るミカンとなるのである。つまり毛の中の細胞液を吾らは賞味しているのである。
 ミカンの皮は外果皮、中果皮、内果皮の三層からなっているが、その外果皮には多数の油点がある。中果皮は外果皮に連なり粗鬆質である。内果皮は薄いけれども組織が緊密で、いわゆるミカンの嚢の外膜をなしている。そして互に連続せずに嚢に従って切れている。その質が堅くかつ嚢の外方壁となっているので、ミカンを剥げば融合連着している外果皮、中果皮がいわゆる蜜柑の皮となり、ひとり内果皮を残して剥がれるのである。
 バナナ(すなわち Banana これは西インド語の Bonana から出ている)の食う部分はその皮であって、すなわちその中果皮と内果皮とを食っているのである。外果皮は繊維質になっているのでこれを剥げばその内部の細胞質の中果皮と内果皮とから離れる。ゆえに俗にこれはバナナの皮だといっている。この中果皮と内果皮とは互いに一つに融合しておってこの部が食用となるのである。そしてバナナは変形してたとえ種子の痕跡はあっても種子が出来ないから食うには都合が
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