折れ垂れることがない。ここに誰も気のつかなかったことで津山尚《つやまたかし》博士が示さるるところによれば、トウジュロの葉の背面基部に針のような二本の付飾物が生じて葉に沿って存在している事実であるが、ワジュロの方にはそんなことは絶えてない。そしてこの事実は全く津山君の発見である。

  蜜柑の毛、バナナの皮

 蜜柑《ミカン》の実にもし毛が生えてなかったら、食えるものにはならず、果実として全く無価値におわる運命にある。毛があればこその蜜柑である。この毛の貴ときこと遠く宝玉も及ばない。皆の衆毛を拝め、蜜柑の毛を。
 花の時ミカンの子房を横断して検してみると、それが数室になっており、その各室内には嫩い卵子《オヴュール》(これを胚珠というのは誤りで nucellus こそ胚珠である、珠心は無益不用な訳語である)があるのみで、他にはそこに何物もない。花がおわるとその子房は日を経るままに段々とその大きさを増すのだが、花後直ぐにその室の外側の壁面から単細胞の毛が多数に生えて出て来、子房の増大とともにこの毛もともに生長して間もなく室内を填充しかつその大きさをも加える。この果実が熟する頃にはそのミカンの
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