ら普通のアシすなわちヨシ(Phragmites communis Trin[#「Trin」は斜体].=Arundo Phragmites[#「Arundo Phragmites」は斜体] L.)と異なった種類のものではない。その浜荻の生えている場所は今は水田の一部となっているが、昔は無論この辺一帯が広い蘆原であったことが想像に難くない。
 浜荻はアシすなわち蘆のふるい別名で、今日ではこの名は既にすたれて、ただ書物の中に残っているだけとなった。
 アシはアシが本名であるが、これを悪しに擬し、ヨシを善しに通わせ縁起を担いでそういったもんだ。そしてこのアシの繁茂している原をばアシハラとはいわずに普通ヨシハラと呼んでいる。かの東京で遊廓のあった地を吉原と呼んでいたが、そこはもとヨシの生えていた田圃であった。
 アシに対する中国の名にはまず三つある。すなわちアシの初生のもの、すなわち食うべき蘆筍の場合のものを葭[#「葭」に傍点]といい、なお十分に秀でず嫩い時を蘆[#「蘆」に傍点]といい、十分に成長したものを葦[#「葦」に傍点]といい、葦はすなわち偉大を意味するといわれる。

  高野の万年草


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