O風にそよぎつつ、そこかしこに咲いているにかかわらず、花が小さくてみすぼらしく色も冴えなく、なんとなく貧相であまり引き立たないコヒルガオを特にヒルガオと称えたかと推測するに、それは古えより我国の学者が、随喜の涙を流して尊重した漢名すなわち中国名が禍をなしてこんな結果を生んだものだと私は確信している。そうでなければ一方に優れた花のヒルガオがあるにもかかわらず、花の美点の淡き貧困なコヒルガオを殊さらに選ぶ理屈はないじゃないか。
 中国の本草、園芸などの書物に旋花《センカ》、一名|鼓子花《コシカ》、別名|打碗花《ダエンカ》等があるが、これらは元来コヒルガオの漢名でヒルガオの名ではない。にもかかわらず日本の学者達はみなこれをヒルガオとしているから、そこで古来一般この旋花すなわち鼓子花がヒルガオの名になっているのである。そしてこの種以外にある優れた花のヒルガオを特にオオヒルガオと呼んでいるが、これはこのように取り扱うには及ばなく、このオオヒルガオをヒルガオとすればそれでよろしく、実際その花がヒルガオとしての価値を十分に発揮している。六、七、八月の候に野外でよくこれを見受けるが、この花をヒルガオそ
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