@オタフクグルミの樹は普通のオニグルミの樹とともに同所にまじって見られる。あるいは所によればオニグルミの樹の多い場合もある。これらの樹は多く流れに沿うた地に好んで生活し、山の脊などには生えていない。
オタフクグルミ一名ヒメグルミ一名メグルミはオニグルミの一変種で、けっして別種のものではない。つまりオニグルミの変わり品である。このオタフクグルミの学名として、初めはマキシモイッチ氏によって名づけられた Juglans cordiformis Maxim[#「Maxim」は斜体]. が発表せられたが、これはただその核だけを見てつくった名であった。
私は信ずるところがあって、これをオニグルミの一変種としてその学名を Juglans Sieboldiana Maxim[#「Maxim」は斜体]. var. cordiformis(Maxim[#「Maxim」は斜体].)Makino[#「Makino」は斜体] と改訂し変更した。アメリカでヒメグルミ(オタフクグルミ)の苗を沢山つくってみた人があったが、それが少しもオニグルミの苗と変わりなく一向にその区別が出来なかったので、アメリカの学者は私の意見に同意を表している。かの L. H. Bailey 氏の書物でもまた A. Rehder 氏の書物でもみなオタフクグルミすなわちヒメグルミを Juglans Sieboldiana Maxim[#「Maxim」は斜体]. var. cordiformis Makino[#「Makino」は斜体] と書いてこれを採用している。
このオタフクグルミ(ヒメグルミ)の核果の核はその形状すなわち姿に種々な変化があって大小、広狭、厚薄はもとよりのこと、一方に大いに張り出したオタフク形のものがあるかと思うと、一方にはもっと痩せ形のものもある。また面に溝のあるもの溝のないものもある。また末端の尖りも低いもの、高いものがあってけっして一様ではない。またまれに縫線が三条あって三稜形(Trigona)のもの、縫線が四条あって四稜形(Tetragona)のものもある。またオニグルミとヒメグルミの間の子と思われるものもある。
オニグルミ(Juglans Sieboldiana Maxim[#「Maxim」は斜体].)にいたってはその大小は無論のこと、その形状もけっして一様でなく、末端の尖りも低いものもあ
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