たびは真《まこと》にどうも有難うござんした」
岩吉は不器用に頭を下げると、忙しそうに帰って行った。
「お俊、係り合いだから、香奠《こうでん》を包んでくんねえ」
「はい」
伝七はそう云ったが、盂蘭盆《うらぼん》に死んで行った薄命の女達を悼《いた》んだのであろう、その眼は涙に濡れていた。
常吉が、即日釈放されたのは云うまでもない。
底本:「競作 黒門町伝七捕物帳」光文社文庫、光文社
1992(平成4)年2月20日初版1刷発行
親本:「黒門町捕物百話」桃源社
1954(昭和29)年発行
入力:大野晋
校正:noriko saito
2010年2月16日作成
青空文庫作成ファイル:
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