なんぞしやはりましたか」
「急病《きゅうびょう》での」
「えッ」
「血《ち》の道《みち》でもあろうが、ここへ来《く》るなり頭痛《ずつう》がするといって、ふさぎ込《こ》んでしまったまま、いまだに顔《かお》も挙《あ》げない始末《しまつ》、この分《ぶん》じゃ、半時《はんとき》待《ま》ってもらっても、今朝《けさ》は、話《はなし》は出来《でき》まいと思《おも》っての、お気《き》の毒《どく》だが、またあらためて、会《あ》ってやっておもらい申《もう》すより、仕方《しかた》がないじゃなかろうかと、実《じつ》は心配《しんぱい》している訳《わけ》だが。……」
「それはまア」
「のう太夫《たゆう》。お前《まえ》さん、詫《わび》はあたしから幾重《いくえ》にもしようから、きょうはこのまま、帰《かえ》っておくんなさるまいか」
「それァもう、帰《かえ》ることは、いつでも帰《かえ》りますけれど、おせんさんが急病《きゅうびょう》とは、気《き》がかりでおますさかい。……」
「いや、気《き》に病《や》むほどのことでもなかろうが、何《なん》せ若《わか》い女《おんな》の急病《きゅうびょう》での。ちっとばかり、朝《あさ》から世間
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