教えてくれるわけにはゆかないかな」
キーシュは熊の背骨《せぼね》をしゃぶり終って立ちあがりました。
「いいですとも、教えてあげましょう。わけのないことです。御覧なさい」
彼は薄い鯨髭《くじらひげ》の長いのを一本拾いあげて皆に見せました。両端《りょうはし》は針のように鋭くとがらせてあります。それを彼はていねいにぐるぐる巻いてゆきました。紐《ひも》のように長い鯨髭が、やがて彼の掌《てのひら》の中へかくれてしまいます。それから急にはなすと、ぴんと前のように伸びました。彼はこんどは鯨の脂肉《あぶらにく》のかたまりを一つ取りあげました。
「この小さな鯨の脂肉を、こんなふうに中をくぼませます。この中へしっかり巻いた鯨髭を押し込んで、その上にもう一つ脂肉をぎゅっとくっつけるのです。これをまるめて外へ出しておくと、一晩のうちにかんかんにこおりついてしまいます。熊がこの小さな球を呑み込むと脂肉はとける、さきのとんがった鯨髭がしゃっきり突立《つった》って、熊のはらわたに突きささります。そこで熊は病気になるのです。熊がすっかり弱りきるのを待って、鎗《やり》で突き殺す。まったくわけのないことですよ」
そ
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