東京市騒擾中の釣
石井研堂

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)来《きた》せし

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)人心|恟々《きょうきょう》と

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「口+僉」、第4水準2−4−39]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)これ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 騒擾と違警罪

 明治三十八年九月五日の、国民大会より、「警察焼打」といふ意外の結果を来《きた》せしかば、市内は俄《にわか》に無警察の状態に陥り、これ見よといふ風に、態々《わざわざ》袒《かたぬ》ぎて大道を濶歩するもの、自慢げに跣足《すあし》にて横行するもの、無提灯にて車を曳《ひ》くものなど、違警罪《いけいざい》者街上に充ち、転《うた》た寒心《かんしん》すべきこと多かりし。
 されば、人心|恟々《きょうきょう》として、安き心も無く、後日、釣船の宿にて聴く所によれば、騒擾《そうじょう》の三日間ば
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