Xタント》を見出すにあるんだ。
 で、その一つというのは、かつて『|鷹の城《ハビヒツブルグ》』の遭難中に、艇長と四人の盲人とをめぐり、いったい何事が行われたか……ということだ。
 艇内日誌を見ても、その部分はことごとく切り取られている。ねえ支倉君、たしかあの中には、この事件の暗黒を照らしだすような、重要な一、二枚があるにちがいない。それが分らなくて、金輪際僕らになにが見えてくれるもんか」
 と陸《おか》に跳び上がって、二つある岩路《いわみち》の左手を択んで、断崖を蜒《うね》って行った。
「それから支倉君、この事件の女性二人は、それぞれ夫と父の変死に、悲しむ色さえ見せようとはしない。
 その比例《プロポーション》たるや、すでに常態ではないだろう。わけても朝枝だが、あの暁の精みたいな娘の中には、何でも怖ろしい夢や幻を、そのままの姿で受けつけるような力が張り切っている。
 だから、ブレーク、ベックリン、ロセチ、それにドーレの『失楽園』や、キャメロンの『水神《アンディーン》』、『ニーベルンゲン譚詩《リード》』のデイリッツなど――ああした、すこぶる幻想的《ファンタスチック》な挿画を見るとだね……
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