齟vしたとすれば、それには、一つの共通した要素があると云えましょう。それで、貴女の夢と、神経病者朝枝の偏執とが一致したのですが、あの、蕾《つぼみ》が開かずにいてくれたら――という願望は、つまり云うと、瓣《はなびら》がダラリと垂れる形で、油絵の中の、唇に懼れられていたそれが当るのです。もちろん朝枝も、いつのまにか、例の秘密場所を嗅ぎつけたのですが、しかしどうしてそれが、かくも怖ろしい惨劇を生んだのでしょう。
 貴女が艇長を思慕する声は、同様に朝枝も唆《そそ》って、思春期の憧れを、艇長に向けていたのですがいよいよあの手紙を見るに及んで、はしなく心の中に、病的なものが立ち罩《こ》めてゆきました。と云うのは、母と競《せ》り合い、陥し入れてまでも、幻の彼を占めようとしたからです。
 夢の充実――それが八住を殺し、母である貴女を、拭いのつかない危地に陥し込もうとしたのでした。
 しかし、あのアマリリスの奇蹟は、父親のひたむきな愛の中から生れ出たのですよ。
 八住は毎夜|払暁《あけがた》になると、不自由な身体を推してまでも花市に行って、蕾のアマリリスを買っては、取り換えていたのです。そして、前夜のも
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