ノ出ると、たちまちその手が潜水操舵器を掴んで、「|鷹の城《ハビヒツブルグ》」は、けたたましく唸《うな》りながら迂回を始めたが、やがて防堤下の岩壁が、前方に透かし見えるところまで来ると、今度は舵《かじ》を操って、それと並行に走らせた。
すると、不思議な事には、少し行くうちに、艇がみるみる水面に浮び上がってゆくのだったが、まもなく硝子の壁に、碧《あお》い陽炎《かげろう》が揺らぎはじめた――艇長フォン・エッセンは、なぜ「|鷹の城《ハビヒツブルグ》」を水面に浮き上がらせたのであろうか。
ところが、艇を出ると、法水は、この事件が終った旨を一同に報せた。
「ところで、あの魔法のような隠身術《おんしんじゅつ》も、底を割れば、たかがこの白い帯一つにすぎなかったのですよ」
検事とウルリーケを伴って、艇内に入ると、法水は、潜水服が吊されている一画を示した。
いずれも、胴着とズボンの間が、前の方だけ少し離れていて、そこから白い、大|帯革《バンド》の裏が見えた。
「つまり艇長はいつも、この中に隠れていたのでしたが、その以前にこの帯なりの隠し彫りを、下腹一面に施したことを忘れてはならないのです。つまり、
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