ノ、最後まで希望を捨てるな――と訓《さと》されましたが、四人の眼は、そこに磁石でもあるかのように、知らず識らず、救命具のある、貯蔵庫の方に引きつけられていったのです。
すると艇長は、その気配のただならぬのを悟ったのでしょうか、莞爾《にっこ》と微笑んで、吾々に潜望鏡を覗かせるのでした。
ところが、水深二〇|米《メートル》の水中にもかかわらず、海水が水銀のような白光を放っているのです。流氷――艇長にそう云われて初めて、温度がいちじるしく低下しているのに気がついたのですが、それを知ると同時に、たちまち周囲が暗くなって、大地が割れた間から、無間《むげん》の地獄が覗いているような気がいたしました。なぜなら、流氷は最短二日ぐらいは続くもので、よしんばその中に浮き揚がったにしても、たちまち四肢が凍《こご》え、凍死の憂目を見ねばならないからです。
それからしばらく、私たちは数々の悲嘆に襲われて、狂気のように悶え悩んでおりましたが、そうした死の恐怖は、やがて悶《もだ》え尽きると、静かな諦観的な気持に変ってゆくのでした。
ところが、そうした墓場のような夜。艇長は士官室の中で慌《あわただ》しい急死を
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