サうして他殺から自殺に移されるということになると、そこに、どんな光によっても見ることの出来ない、伸子の告白文が現われてくるのだ。それは気紛《きまぐ》れな妖精めいた、豊麗《ほうれい》な逸楽的な、しかも、ある驚くべき霊智を持った人間以外は、とうていその不思議な感性に触れることが出来ないのだ。伸子は、あの陳腐《ちんぷ》きわまる手法に、一つの新しい生命を吹き込んだ……」
「なに、告白文※[#感嘆符疑問符、1−8−78]」と検事は、脳天まで痺《しび》れきったような顔をして、莨《たばこ》を口から放し、ぼんやりと法水の顔を見詰めている。
「うん、焔の弁舌だよ。しかも、その焔はけっして見ることは出来ないのだ。しかも、ファウスト博士の最後の儀礼《パンチリオ》で、それは一種の秘密表示《サイファリング・エキスプレッション》なんだ。ねえ支倉君、例えば、髪・耳・唇・耳・鼻――と順々に押えてゆくと、それが Hair《ヘーア》. Ear《イーア》. Lips《リップス》. Ear《イーア》. Nose《ノーズ》 で、結局 Helen《ヘレン》 となる――そういう、秘密表示《サイファリング・エキスプレッション》の一種
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