オ、もう一つ、側面から刺戟してきたものがあって、奇妙なことに、その一つのサントニンが犯人にも影響を与え、その両面を合わせてみると、まるで陰画と陽画のように符合してしまうのだよ。と云うのは、ほかでもない、あの園芸靴の靴跡なんだ。あれは既《とう》に、僕の解析から偽造足跡であることが、判明したけれども、その復路の中途で何の意味もなく、当然踏めばよいとしか思われない、枯芝を大きく跨《また》ぎ越えている。ところが、その危く見逃すところだった微細な点――云わば|毛ほど《ラナ・カプリナ》のものとも云うものに、実を云うと、犯人の死命を制した一つの盲点があったのだよ。そこに僕は、|因果応報の神《ネメシス》の魔力を、しっかと捉えることが出来た。この運命悲劇では、犯人がボルジアの助毒として用いた、サントニンによって、終局には自らが斃《たお》されなければならなかったのだ。何故なら支倉君、犯人はダンネベルグ夫人と同じに、自分もサントニンを嚥《の》まなければならなかったのだから、当然そう判ると、あの枯芝を何故|跨《また》がねばならなかったか――という意味が、判然《はっきり》とするだろう。つまり、それは一種脳髄上の
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