ニ驚くべき言葉を放って、その大見得が、一座を昂奮の絶頂にせり上げてしまった。
「実は、先刻《さっき》神意審問会の情景を再現してみたのですが、その場ではしなく、ダンネベルグ夫人が、驚くべき第二視力者《セカンド・サイター》であり、彼女に比斯呈利《ヒステリー》性幻視力が具わっていたのを知ることが出来ました。そうなると、当然発作が起った場合、あの方の痳痺[#「痳痺」はママ]した方の手には、自働手記([#ここから割り注]心理学者ジャネーの実験に端を発したもので、知らぬ間に筆を持たせた者の痺れた手を、気付かぬように握って、両三回文字を書かせると、その握った手を離した後でも、その通りの文字を自分の筆跡でしたためる――と云う、一種の変態心理現象。[#ここで割り注終わり])が可能になるではありませんか。いや、伸子さんの室《へや》の扉《ドア》際にあった、鉤裂《かぎざ》きの跡を見ても、夫人の右手が、あの当時痳痺[#「痳痺」はママ]していたことが判るんですよ。しかし、あの場合は、それがもう一段|蜻蛉《とんぼ》返りを打って、さらに異様な矛盾を起してしまったのでした。と云うのは、利手《ききて》の異なる方の手で、刺
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