@シズム》が――その脈打ちさえも聴き取れるような気がした。それから、暗い廊下を歩いて、旧《もと》の室《へや》に戻ると、そこには、先刻《さっき》伸子が約束した回答が待っていた。神意審問会の索輪《つなわ》の中で、濃厚な疑惑に包まれ、しかもそれが、ピッタリと現存の四人、その一群に、最後の切札が投ぜられたのだ。法水は唇が涸《かわ》き、封筒を持つ右手が怪しくも顫《ふる》え出した。そして、心の中で叫んだ。伸子よ、|運命の星は汝の胸に横たわる《イン・ダイネル・ブルスト・ルーエン・ダイネ・シックザールス・シュテルネ》!
三、|父よ、吾も人の子なり《パテル・ホモ・スム》
昨年問題の遺言書が発表された――その席上からいち早く出て、算哲がそこへ達しない以前に、金庫の中から、焼き捨てられた全文を映し取った乾板を、取り出した人物がなければならなかった。そうであるからして、その人物の名を印した伸子の封書を握りしめて、法水が、心の中でそう叫んだのも当然であると云えよう。しかし、封を切って、内容《なかみ》を一瞥《いちべつ》した瞬間に、どうしたことか彼の瞳から輝きが失せ、全身の怒張がいっせいに弛《ゆる》ん
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