ゥて、熊城が点滅器を捻《ひね》ると、その異様な霧が、今度は法水の、病的な探究の雲に変っていった。やがて、彼はニタリとほくそ笑んで、二人を顧《かえり》みた。
「この微孔の存在理由《レーゾン・デートル》は、ある意味では隠れ衣であり、また、一種の水晶凝視《クリスタル・ゲージング》を起すにもあったのだ。それぞれ芯孔に通じているので、そこから導かれてきた蝋の蒸気が、蝋身を伝わって立ち上《のぼ》ってゆく。しかし、そうなって、ダンネベルグ夫人の顔前に蒸気の壁が出来、さらに、中央の三本に焔を瞬《またた》かせて、光を暗くするとだ。当然、円陣の中央《まんなか》にいる一人の顔は、異常のない両端の光から最も遠くなる。したがって、その顔が、ダンネベルグ夫人からは全然見えなくなってしまうのだ。また、同時に両端の二本も、両側から上ってくる蒸気に煽《あお》られて、焔が横倒しになる。そして、光の位置がさらに偏《かたよ》るので、当然両端にいる二人の顔も、この位置から見ると、光に遮られて消えてしまうのだよ。つまり、旗太郎・伸子・セレナ夫人――と、こう数えた三人というのは、仮令《たとえ》中途でこの室から出たにしても、その姿を
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