オた。その態度には、相変らず、明るい親愛の情が溢《あふ》れていた。「昨日レヴェズ様が、私に公然結婚をお申し出になりました。そして、その諾否《だくひ》を、この二つで回答してくれと仰言《おっしゃ》って……」と彼女は語尾を萎《すぼ》めて、あまりにも慌《あわ》ただしい、人生の変転を悲しむごとくであった。が、やがて、懐中から取り出したものがあって、その時ならぬ豪奢な光輝が、思わず三人の眼を動かなくしてしまった。それは二本の王冠《クラウン》ピンだった。そして、その上に、一つには紅玉《ルビー》一つにはアレキサンドライトが、それぞれ白金《プラチナ》の台の上で、百二、三十カラットもあろうと思われる、マーキーズ形の凸刻面を輝かしていた。伸子は弱々しい嘆息をしてから、舌を重たげに動かしていった。
「つまり、親愛な黄色――アレキサンドライトの方が吉で、紅玉《ルビー》の血は勿論凶なのでございます。そして、この二つを諾否の表示《しるし》にして、どっちかを、演奏中私の髪飾りにしていてくれ――と、あの方は仰言《おっしゃ》いました」
「では、云い当てて見ましょうか」と狡猾《ずる》そうに眼を細めて云ったが、しかし、何故か
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