東Rの戦没者の名を附けたのでした。そして、この書庫の中から、グスタフス王の正伝をことごとく省いてしまって、それに『リシュリュウ機密閣《ブラック・キャビネット》史』を当てたのでしたけれども、恐らくその人名は、家族の者にも、また貴方がた捜査官にも、なんらかの使嗾《しそう》を起さずにいまいと考えられておりました。ですから法水さん、これで、いつぞや貴方に申し上げた、霊性《ガイスチヒカイト》という言葉の意味が――つまり、父から子に、人間の種子《たね》が必ず一度は彷徨《さまよ》わねばならぬ、あの荒野《ヴュステ》の意味がお判りでございましょう。そうして、今日クリヴォフ様が斃《たお》されたのですから、そうなると、当然算哲様の影が、あの疑心暗鬼の中から消えてしまうではございませんか。ああ、この事件はあらゆる犯罪の中で、道徳の最も頽廃《たいはい》した型式なのでございます。そして、その黝《くろ》ずんだ溝《どぶ》臭い溜水の中で、あの五人の方々が喘《あえ》ぎ競《せめ》いていたのでございますわ」
こうして、四人の神秘楽人の正体が曝露されると同時に、過去における黒死館の暗流には、ただ一つ、二つの変死事件のみが残さ
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