烽フのように顔を背けていたが、云いはじめると、その陳述はテキパキ要領を得ていた。「曲目の第一が終って休憩に入りましたので、レヴェズ様は礼拝堂からお出でになりました。その時私は広間《サロン》を抜けて、廊下をこの室の方に歩いてまいりましたが、その私の後を跟《つ》けて、レヴェズ様も同様歩んでお出でになるのでした。しかし、それなり私は、この室《へや》の前を過ぎて換衣室の方に曲ってしまいましたけども、その曲り角でふと後を振り向きますと、レヴェズ様はこの室の前に突っ立ったままで、私の方を凝然《じっ》と見ているのでございます。それはまるで、私の姿が消えるのを待っているかのようでございました」
それによると、レヴェズが自分からこの室に入ったと云っても、それには寸分も、疑う余地がないのであった。法水は次の質問に入った。
「それから、その時他の三人はどうしていたね?」
「それは御|各自《めいめい》に、一応はお室《へや》に引き上げられたようでございました。そして、曲目の次が始まるちょうど五分前頃に、三人の方はお連れ立ちになり、また伸子さんは、それから幾分遅れ気味にいらっしゃったよう、記憶しておりますが」
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