bクを守護神にして、僕はドルイド呪僧と闘わねばならなくなったのです。貴方は、あの愛蘭土《アイルランド》の傑僧がデシル法――(註)に似た行列を行うと、それがドルイド呪僧を駆逐《くちく》して、アルマーの地が聖化されたという史実を御存じでしょうか」

[#ここから4字下げ]
(註)ウエールスの悪魔教ドルイドの宗儀で、祭壇の周囲を太陽の運行と同様に、すなわち、左から右に廻る習俗。
[#ここで字下げ終わり]

「デシル法※[#感嘆符疑問符、1−8−78] それを、どうしてまた貴方が……」と臆したように面《おもて》を曇らせたが、セレナ夫人は、そうした口の下から問い返した。「ですけど、聰明な聖パトリックは、布教の方便として、あの左から右へ廻る行列法を借りたのではございませんこと」
「さよう、それが今日の事件では、|もの云う表象《テル・テール・シムボル》――だったのです。しかし、呪術の表象《シムボル》を他に移すということは、呪僧それ自らを滅ぼすことなんですよ」と法水は、意地悪げな片笑を泛《うか》べて、陰性な威嚇《いかく》を罩《こ》めたような言葉を云い切った。ああ、|もの云う表象《テル・テール・シムボル
前へ 次へ
全700ページ中595ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小栗 虫太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング