、」]。しかし、たぶん貴女《あなた》なら、この開閉器《スイッチ》を捻《ひね》ったのが誰だか――御存じのはずですがね」とまず津多子を喚《よ》んで、法水はこう速急に切りだした。けれども、相手はいっこうに動じた気色もなく、むしろ冷笑を含んで、津多子は云い返した。
「お返し下さるなら、頂いておきますわ。ですけれど法水さん、やっとこれで、|善行悪報の神《ムタビヌチオ》の存在が私に判りましたわ。何故かと申しますなら、暗闇の中から呻吟《うめき》の声が洩れた瞬間に、私の頭へこのスイッチの事が閃《ひらめ》いたのでした。もし、人手を借らず把手《つまみ》が捻れるものでしたら、必ずこの蓋の内部に、何か陰険な仕掛が秘められていなければなりません。また、それがもし事実だとすれば、恐らく闇を幸いに、犯人がその仕掛を取り戻しに来るだろうと思いました。そう考えると、それまでは思いもよらなかった決意が浮んでまいりまして、そこで私、逸早く座席を外して、この場所にまいったのでございます。そして、自分の背でこの開閉器《スイッチ》を覆うていて、いま貴方がお見えになるまで、ずうっとこの場所に立っていたのでございました。ですから法水
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