焉A法水は一道の光明を認め得たのであった。と云うのは、装飾灯《シャンデリヤ》が消える直前に、津多子が入口の扉《ドア》に現われて、扉《ドア》際にある開閉器《スイッチ》の脇を通ってから、その側の端に近い、最前列の椅子を占めたからである。
 事実それに、法水が発見した最初の座標があったのだ。それは、アベルスの「犯罪形態学《フェルブレッヘリッシェ・モルフォロギイ》」の中に挙げられている詭計の一つで、蓋附き開閉器《スイッチ》に電障を起させるために、氷の稜片を利用するという方法である。つまり、把手《つまみ》に続いている絶縁物に稜片の先を挾んで置くので、把手《つまみ》を捻《ひね》ると、接触板が微かに触れる程度で点燈される。が、その直後、把手《つまみ》に腕を衝突させるのが狡策であって、そうすると氷の先が折れて、稜片の胴が、熱のある接触板の一つに触れる。したがって、そうして溶解した氷の蒸気が陶器台の上に水滴を作れば、当然そこに電障が起らねばならない。しかも、溶解した氷は、そのまま消失してしまうのである。すなわち、この場合|開閉器《スイッチ》の側を過ぎる際に、もしその狡策を津多子が行ったとしたら、当然消燈
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