宴X・ハーモニカ》めいた、裂罅《ひび》を塞《ふさ》いでしまったのだよ」と法水は峻烈な表情をして、再び二人の意表に出た。ああ、黒死館事件最大の神秘と目されていた――あの倍音の謎は解けたのだろうか。法水は続けた。「しかし、その方法となると、一つの射影的な観察があるにすぎない。つまり、鐘楼の頭上には円孔が一つ空いていて、その上が巨きな円筒となり、その左右の両端が十二宮の円華窓になっている。その円筒の理論を、オルガン管《パイプ》にさえ移せばいいのだよ。何故なら、両端が開いている管《パイプ》の一端が閉じられると、そこに一音階《ワン・オクターヴ》上の音が、発せられるからなんだ。しかし、それ以前に犯人は、鐘楼の廻廊にも現われていた。そして、風精《ジルフス》の紙片を貼り付けた――三つあるうちの中央の扉《ドア》を、秘《こっ》そりと閉めたのだったよ。何故なら支倉君、君はレイリー卿が、この世には生物の棲《す》めない音響の世界がある――と云った言葉を知っているかね」
「なに、生物の棲めない音響の世界※[#感嘆符疑問符、1−8−78]」と検事は眼を円くして叫んだ。
「そうなんだ。それが、実に凄愴《せいそう》をき
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