s幸な暗合を持っている。けれども、ダンネベルグ事件以外には、あの女の顔がどこにも現われてはいないのだよ。しかし熊城君、実を云うと、あの電話一つに、もっともっと深い疑義があるのではないかと思うよ。とにかく、久我鎮子の身分と押鐘博士を、至急洗い上げるように命じてくれ給え」
 そこへ、法水の予測が的中したという報知《しらせ》が、私服からもたらされて、はたせるかな地精《コボルト》の札《ふだ》が、伸子の室《へや》にある格子底机《ボールド・ルーベ》の抽斗《ひきだし》から発見されたのだった。そこで法水等は、伸子を引き立ててきたという、旧《もと》の室に戻ることになった。扉《ドア》を開くと、嗚咽《おえつ》の声が聞える。伸子は、両手で覆うた顔を卓上に伏せて、しきりと肩を顫《ふる》わせていた。熊城は、毒々しい口調を、彼女の背後から吐きかけるのだった。
「君の名が点鬼簿《てんきぼ》から消されていたのも、わずか四時間だけの間さ。だが、今度は虹も出ないし、君も踊るわけにはゆかんだろう」
「いいえ」と伸子は、キッと顔を振り向けたが、満面には滴らんばかりの膏汗《あぶらあせ》だった。「あの札はいつの間にか、抽斗《ひきだ
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